遺言を作成しておくべきケース

遺言を作成するタイミング

遺言は「よく分からないけれど書いた方が良いのかな」、という程度の方も多いと思います。

生前準備として自分が元気なうちに遺言を作成しておくことが重要だと考える人が多い中で、どういった形式で作成したほうがいいのかなど専門知識がないことによって遺言を作成するのを先延ばしなんてことは結構あるケースです。

実際に相続発生後の相談を日々受ける中で、遺言がないケースで揉めてしまうなんてことも起きていますので、元気なうちに遺言を作成しておくことがとても大切です。

遺言は必ず作成しないといけない?

遺言は相続において必ず作成しなければならないというものではありません。

相続の専門家である司法書士目線では、相続に立ち会う際に「遺言があればもっと手続きがスムーズに終わったのに…」という事を感じざるを得ません。

そこで今回は、あらかじめ遺言書を書いておいた方がいいと思う人のタイプについて、解説していきます。

下記に1つでも該当する場合は、遺言を準備しておくことが必要です。

・子供のいない夫婦

・離婚した相手との間に子供がいる人

・相続人の中に障がいや認知症により判断能力がない方がいる人

・相続人同士で仲が良くない人

・特定の相続人に財産を残したい人

遺言を書く目的

・財産を残す人の意思を実現

・相続トラブルの防止

・相続手続きを円滑化

これから紹介する特徴に一つでも該当する人は、「相続トラブルが発生しやすい人」です。

ご自身のためだけではなく、残される家族のためだと思って、ぜひ遺言を書いていただければと思います。

遺言を必ず書いた方がいいケース

子供がいない夫婦

遺言に関連するご相談をいただく件数が過去一番多いのが、子どもがいない夫婦です。

夫婦の間に子供がいない場合、残された妻(夫)と義理の父や母、もしくは義理の兄弟達が相続人になるため、全員で遺産分割協議を行うことが必要です。

相続人同士で仲が良くない場合や、疎遠でほとんど連絡を取っていない場合は特に遺産分割で揉める可能性が高くなりますので、注意が必要です。

夫婦間でそれぞれ相手に全て全財産を相続させるよう遺言を書き遺しておけば、兄弟姉妹には遺留分がないのでトラブル回避になりますので、必ず遺言を夫婦で作成しておくことをおすすめします。

離婚した相手との子どもがいる

夫婦が離婚をした場合、法律上は他人になります。

離婚後に元夫婦の一方が死亡したとしても、元配偶者には相続権はありませんが、離婚した相手との子どもがいる場合、その子には相続権が発生します。

夫婦が離婚したからといって子どもとの親子関係は変わりません。

再婚されている方は現在の配偶者と(再婚者との間に子供がいる場合はその子供も含む)離婚した相手との子供との間で遺産分割協議を行わなければなりません。

障がいや認知症により判断能力がない相続人がいる

遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議を行うことになりますが、相続人のうち一人でも判断能力のない方がいる場合、遺産分割協議を行うことはできません。

認知症=意思能力が喪失しているというわけではありませんが、ご高齢で認知症を発症していると、自分の考えや意見を発することができなくなっている場合が多いものと推察されてしまいます。

将来相続人になる者の中に認知症の者がいる、又は認知症になる可能性の高い者がいる場合に、予め遺言書を作成しておくと、遺言書は相続人の関与なしに希望する形で相続を実現できるため、認知症の相続人がいる相続において非常に有効な策といえます。

相続人同士で仲が良くない

遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議を行うことになるため、相続人同士の仲が悪い、連絡を取っていない場合は揉める可能性が高くなります。

特に、子供同士の仲が悪い場合は親が亡くなるとさらに関係が悪化し、態度が急変するというケースもあります。兄妹の妻(夫)が口をはさんで揉めるケースも多いため、少なからず揉めてしまう事もあります。

遺言をさくせいしておけば、こういった相続トラブルを防止する事に繋がります。

特定の相続人に財産を残したい

「特定の相続人に相続財産を遺したい」というケース

遺言作成者に対して看護、介護、または経済的な支援をしてくれたなど経緯は様々です。

相続人に対する感謝を込めて相続財産を与える場合や、残された相続人の生活資本のために相続財産を与えたいといった理由が良く見受けられます。

このような場合は遺言を作成しておかないと相続は法定相続分通りに相続されてしまいますので、仮にご自身(遺言者)が残したいという希望があっても遺言がない場合は、遺贈することも難しくなります。

特定の相続人に財産を残すようなときは、遺言を書いた理由や経緯、ご自身の気持ちなどをあわせて書いておくことで、相続人間での無用なトラブルを未然に防げる可能性があります。

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