遺言が無効になるケースと無効を主張したい場合の対応方法

遺言が無効となる場合とは

生前に時間をかけて作成した遺言が無効になるなんてこともあります。
今回のページでは、遺言が無効にならないためにどういった対応が必要なのかを事前に把握しておくことが必要です。

無効な遺言の形式

遺言の形式には、公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言の3つがあります。

遺言者が選んだ形式が適切でない場合、遺言は無効になります。

遺言者の意思表示の不足

遺言は、遺言者の真意が確認できるような明確な意思表示が必要です。

たとえば、遺言書に矛盾する内容があった場合や、遺言者の判断能力がない状態や精神的に不安定であった場合は、遺言の無効が主張されることがあります。

相続人の侵害

遺言によって相続人の法定相続分が侵害された場合、その相続人は遺言の無効を主張することができます

ただし、法定相続分の範囲内であれば、遺言によって相続人の取得分が増えた場合は、遺言の効力が認められます。

違法行為の存在

遺言が違法行為に基づいて成立していた場合、たとえば脅迫や詐欺などがあった場合は、遺言は無効になります。

以上が、主な遺言の無効事由です。遺言には様々な要件があり、また個別のケースによって異なるため、遺言の有効性については専門家に相談することが望ましいです。

遺言書が無効になる場合と無効を主張したい場合の対処法

自筆証書遺言が無効になる場合

日付がない

遺言には作成した日付を入れる必要があり、日付が入っていない遺言書は、正式な遺言書として認められません。

遺言書の一部をパソコンで書いたり、代筆したりする

遺産目録以外の全文は直筆で書く必要があります。

署名・押印がない

遺言の内容がしっかりしていても、署名と押印がなければ遺言は法的拘束力をもちませんので、必ず忘れずに署名・押印する必要があります。

訂正方法を誤る

遺言書を書き間違えたときの加除訂正の方法は、法律で決まっています。

「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」

つまり、その場所を指示すること、変更した旨を付記すること、付記部分に署名すること、変更場所に印を押すことが必要となります。

公正証書遺言が無効になる場合

記載内容が不適切、真意と異なる

公正証書遺言に記載された内容が、法律上許されないものであったり、相続人の権利を不当に侵害している場合、その遺言は無効となります。

また、遺言者の意図と遺言内容に違いがある場合、遺言は無効になります。

具体的には下記が当てはまります。

・「表示上の錯誤」:書き間違い、言い間違い
・「表示行為の意味に関する錯誤」:考え自体が勘違い
・「動機の錯誤」:その考えに至るまでのきっかけに勘違いがある

作成要件が満たされていない場合

公正証書遺言は、公証人の前で作成する必要があり、公証人が立ち会わなかった場合や、公証人が証人を選任しなかった場合、または公正証書遺言の作成に際して必要な手続きが遵守されなかった場合、遺言は無効となることがあります。

遺言能力がなかった

遺言能力とは、遺言が持つ意味や効力を判断する能力を指します。

そのため、遺言作成当時、遺言者が以下の認知症などの診断を受け、判断能力がないと認められているのにもかかわらず遺言を作成した場合は無効になります。

別の遺言が存在

公正証書遺言が作成された後に、遺言者が別の遺言書を作成した場合、最新の遺言書が優先されます。

ただし、公正証書遺言が最新の遺言書であれば、その遺言が優先されます。

これらの理由に該当する場合、公正証書遺言は無効となります。

したがって、公正証書遺言を作成する際には、法律的な要件を遵守し、内容についても慎重に考える必要があります。

口授を欠いていた

「口授」は、遺言者が口頭で遺言内容を公証人に伝えることです。

公正証書遺言書を作成する際、法律上必ず踏むべき手順ですが、近年では遺言者が事前に内容を公証人と話し合ったり、第三者が代弁したりして内容を徐々に詰めておくことが多いです。

そのため、作成当日は公証人が記載内容を読み上げ、問題がないかどうか遺言者に確認する程度で終わることが多くあります。

その場合、打合せ段階で第三者の主導で遺言内容を決めてしまっていたとしても、当日遺言者が内容を理解していなくても、「はい」とさえ返事ができれば遺言書を作成できてしまいます。

厳密には「口授」なしにも有効な公正証書遺言書は作ることができるので、遺言者が遺言内容を理解し、自分の意思を以て返事をしたかがポイントになります。

口授を欠いていたかどうかを確認する方法

・作成当時の病院の診療記録や看護記録を確認する
・当時の公証人や証人に確認する

証人が不適格

公正証書遺言書を作成する際には、2人以上の証人が必要です。

証人になれない条件

・未成年者
・推定相続人やその家族
・財産を譲り受ける人とその家族
・公証人の家族や4親等以内の親族
・公証役場の職員や公証人に雇われた人

公序良俗に違反していた

社会的、道徳的に認められない場合、その遺言は無効になります。

<例>
・戸籍上の妻子がいるにも関わらず、愛人に全財産を譲る
・経営者が顧問弁護士に会社の全財産を譲る

遺言作成を相続の専門家に依頼するメリット

今回は遺言が無効になる場合と遺言を無効にしたい場合の対処法の双方をご説明しました。

遺言を無効にしたい場合は訴訟に繋がる可能性も高いため、ご自身だけで進めずに必ず相続の専門家に相談することをおすすめします。

法的に無効にすることが出来るのかなども含めて慎重に判断していかないと、大きな揉め事に発展してしまう事もありえますので、注意が必要です。

また、これから遺言の準備を考えている人は、どういった想いで財産を相続人へ遺すのかを含めて正しい遺言を作ること、想いを伝えることが非常に大切です。

少しでも遺言を作る上で不安がある場合は、身近な相続の専門家である司法書士へご相談ください。

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また、「自分はまだ遺言書を書く必要がない」と、相続についてまだ考えなくてもいいと先延ばしにしている人もいらっしゃいます。

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